果物工場を救え!中学生の職場訪問でプログラミング体験を開催!

皆さんこんにちは!戦略企画室の太田です。

2026年も夏真っ盛りですが、今年の夏は東京に限れば昨年ほど日傘の出番がないような気がしています。
地球さんには、このままのペースでぜひ秋に向かって真っ直ぐ進んでいってほしいものであります。

さて今回のブログでは、2025年9月の出来事「中学生の職場訪問」についてご紹介しようと思います。

この職場訪問は、東京への修学旅行のプログラムの1つとして、学生さんたちが東京にある様々なジャンルの企業を訪ねる、という形の職場体験です。
プログラムの導入支援をしている企業様からご依頼をいただき、WESEEKでも学生さんたちを受け入れることになりました。

前例がないことへのチャレンジを戦略企画室から

このプログラムは、中学生のみなさんに「働く」ということを少しでも自分事として感じてもらい、将来を考えるきっかけにしてもらおう、という趣旨のもの。
趣旨はとても素晴らしい。ぜひ協力したい。……のですが、WESEEKにとって職場訪問の受け入れはこれが初めてで、社内にノウハウがまったくありません。

また、会社に対して特にインセンティブがあるわけでもなく、戦略企画室としても日々の稼動を割いて対応するかどうか、迷いがあったことも事実です。

それでも受け入れを決めた背景には、WESEEK代表である武井さんの想いが強くありました。

武井さん自身、お母様が運営していた塾に通っていた高専生に感化されてITの道を目指した、という経緯の持ち主。「子どもの頃の原体験は大切。インターン生にしても、『楽しい』という気持ちを育むことが重要」と常々考えているそうです。

最終的にはWESEEKが大切にしている「やってみなはれ」の精神を体現する形で、今まで前例がないことでも一度やってから振り返ってみよう、と職場訪問の受け入れを決定しました。

WESEEK, Inc. 戦略企画室なりの社会貢献の形である——そんな自負を持っての受け入れでもありました。

中学生にエンジニアの魅力を伝えるには?

今回WESEEKに訪問してくださることになったのは、武井さんの出身地でもある岐阜県の中学校に通う、中学3年生のみなさんです。

学生の訪問先はランダムに割り振られるため、「エンジニアに興味があります!」という学生さんが必ずしも来てくれるわけではないとのこと。

当日の訪問時間として私たちに与えられた2時間の間で、エンジニアの仕事をどのレベルで、どんな風に伝えれば魅力を感じてもらえるのか……。考えれば考えるほど難しい問いです。

エンジニアではないものの、中学時代に参加した職場体験がとても良い体験として心に残っており、職場訪問というイベント自体へのやる気だけは満ち溢れている私と、以前から教育事業に関心のあった武井さんと2人で、当日中学生に提供するプログラムの準備がスタートすることになりました。

AI を活用してオリジナルプログラミング体験ツールを作成

まず決めたのは、限られた時間の中でも、簡単なプログラミングを実際に体験してもらおう、という方向性です。

最初は、画面に「Hello World」と表示させてみる、Scratch(教育用のビジュアルプログラミングツール)を使ってみる、といった「プログラミングのさわり」の部分を考えていました。
ただ、よく考えてみると、今の中学生は学校の授業でプログラミングに触れています。
授業で扱わない内容で、かつ短時間でも面白みを持ってもらえるものって一体なんなんだ〜、と早速壁にぶつかりました。

武井さんに相談したところ、プログラミングによる「自動化」を体験してもらおう、というテーマが決まりました。
エンジニアの仕事を一言で説明するなら「コンピューターに指示を出して、作業を自動化すること」。それなら、面倒な手作業を自分の書いたコードで自動化する体験こそ、エンジニアの仕事の面白さに一番近いはずだ、というわけです。

そこから武井さんのアイデアはどんどん膨らみ、最終的には、クライアントとサーバーを分けて通信を行うという、中学生向けの体験ツールにしては結構本格的な構成のアプリケーションを作ることになっていきます……。

助けてClaude!

方針が決まったところで、武井さんにそのアイデアを社内のホワイトボードに書いていただきました。それがこちらです。

社内のホワイトボードに書かれた通信の説明

正直に白状すると、この時点の私は、書かれている内容をまったく理解できていませんでした。サーバー? 通信? 矢印がいっぱいある……という状態です。

そんな途方に暮れた私に寄り添ってくれたのが、AI(Claude)でした。実現したいことと、武井さんが描いた設計・通信方法をClaudeに伝えて、地道に開発を進めていきました。

今だったら、Claude Code(AIがコードの編集からコマンドの実行までこなしてくれる開発ツール)を使って、まず仕様書を作成して、そこから設計を……とスムーズに進められるのでしょうが、当時の私にはそんな知識はありません。
チャット版のClaudeに、動かなくなった部分のコードをコピーして貼り付けては直してもらう、というトライアンドエラーをひたすら繰り返しつつ、どうにかどうにか完成まで漕ぎ着けました😭

作ったもの

そんな苦難の末に完成したのが、こちらの「果物工場を救え!プログラミングで自動化プロジェクト」です!

舞台は、ベルトコンベアで果物の箱が次々と流れてくる工場。
果物工場を稼動させるメインコンピューターは、果物の出荷注文を請けて、箱をベルトコンベアに送り出し、作業員が正しく果物を入れてくれるのを待っています。作業員となった3人の中学生達は、次々に流れてくる箱に果物を入れ、箱の色と形を決めて出荷します。

この動きをサーバーマシンと作業員用のPC3台でシミュレートし、教室内のネットワークでリアルタイムに通信しながら「箱データ」をマシン間でリレーして果物工場をうまく回していけるのか?というのがこのプログラムのアウトラインです。

最初は、中身の果物の名前や箱の色・形を一つひとつ手で入力するのですが、これがなかなか大変で、もたつくとチェック待ちの箱がどんどん溜まっていきます。
この面倒な手作業を、自分でコードを書いて自動化できる、という仕組みにしました。手作業のつらさをたっぷり味わったうえで、自動化の気持ちよさを体験してもらう、というのが狙いです。

作業員1の実際のブラウザ上の画面

作業員1の実際のブラウザ上の画面

ちなみに、この「果物工場」を動かすプログラム(サーバー)は講師用のパソコンの中で働いていて、果物の箱のデータを作って送り出したり、入力された答えの丸つけをしたりしています。中学生が座る3台のパソコンは、それぞれ「作業員1〜3の作業場」の画面です。

「果物工場を救え!」のざっくり構成図。講師用パソコンのサーバーと生徒用パソコン3台が教室内ネットワークで通信し、果物の箱が作業員1から3へリレーされて出荷される

「果物工場を救え!」のざっくり構成

もう少しだけ技術的な話をすると、このアプリは1つのリポジトリの中を「画面(クライアント)」と「工場(サーバー)」に分けたモノレポ構成で、全体をTypeScriptで開発しています。

画面側はReactで作られたSPAで、コードを書くスペースにはCodeMirrorというエディタ部品を採用。サーバー側はNode.js上で軽量WebフレームワークのHonoが動いていて、両者はSocket.IO(WebSocket)による双方向のリアルタイム通信でつながっています。中学生が書いた自動化コードは、保存するとサーバーへ送られ、流れてくる箱1つひとつに対してサーバー側で実行される、という作りです。
また、各ステージの作業内容・ヒント・答え合わせのルールは共通パッケージの設定ファイルに一元管理して、ステージの追加や難易度の調整がしやすいようにしました。

「果物工場を救え!」のソフトウェア構成図。pnpmモノレポの中にReact製クライアント、Hono製サーバー、共通パッケージがあり、Socket.IOでリアルタイム通信する

「果物工場を救え!」のソフトウェア構成

果たして中学生のみなさんはどれぐらい楽しんでくれるのか。不安しかありませんでしたが、できる限りの準備をして当日を迎えました。

当日の様子

アイスブレイク

当日、中学生のみなさんは、なんと自分たちだけで慣れない東京の電車を乗り継いで、高田馬場のオフィスまで来てくれました。それだけでもう拍手です!

職場訪問は、自己紹介のアイスブレイクからスタート。
私の中学生の頃の写真を見せたり、岐阜県の駅で乗り換えダッシュをして電車のドアに挟まれかけた思い出話を挟んだりしながら、少しずつ緊張をほぐしていきました。
当日は、戦略企画室でインターンをしている大学生2名にもサポートに入ってもらっています。

そのあとは、WESEEKがどんな会社なのか、エンジニアとはどんな仕事をしている人たちなのかを紹介しました。
WESEEKは、中学生のみなさんが普段から触れているようなサービスを提供している会社というわけではないので、実はここの説明が一番難しかったかもしれません。

YouTubeの検索も、ゲームのキャラクターの動きも、SNSの通知も、身近なものの多くがプログラミングによる自動化でできている——そんな例を交えながら、この日のキーワードである「自動化」を記憶に刻み込んでいきます。

file

「果物工場を救え!」で自動化を体験

いよいよ体験の時間です!
3台のパソコンに2人1組で座ってもらい、それぞれ作業員になりきって果物工場のチェック作業に取り組んでもらいました。1人が操作して、もう1人がサポートや相談役にまわる——交代しながらの協力プレイです。

最初は手作業です。流れてくる箱を見て、中身の果物の名前や箱の色を入力していきます。
スピードが追いつかないと箱がどんどん溜まっていくので、だんだん大変になってきます。
「人間だと疲れるし、飽きちゃいますよね」というところで、いよいよ自動化機能を解放しました。

「もし中身がりんごなら『りんご』と入力する」——そんな指示をコードで書いていくと、さっきまで手作業で必死にさばいていた箱が、自動でどんどん片づいていきます!

とはいえ、実際にやってもらうと、そもそもパソコンの操作が最初の壁でした。
文字の入力はもちろん、コピー&ペーストのやり方から苦戦する場面も。普段はスマホがメインの世代なんだなあ、と実感します。
そこはインターン生たちがそばについてサポートしながら、「今のコードに何を足せばいいんだろう?」を一緒に考えてもらいました。

そうしてヒントをもとに目的に合ったコードを完成させて、目の前で箱が自動でさばけていったときには、みなさんとても喜んでくれました。「何をやればいいのか分からない」まま終わるのではなく、自分で考えて、書いて、動かす、というやりごたえを感じてもらえたようで、本当にほっとしました。

エンジニアへの質問コーナーとお土産

体験のあとは、WESEEKのエンジニアに直接質問できる時間を設けました。登場したのは、岐阜県出身でもあるWESEEK代表の武井さん。
中学生のみなさんと地元トークで盛り上がりつつ、「ふだんはどんな仕事をしているんですか」「エンジニアになろうと思ったきっかけは?」「どうして大学生で会社を始めようと思ったんですか」といった質問に答えていました。

そして最後には、私なりのこだわりとして、「働く」とはどういうことか、という話をさせてもらいました。

私が伝えたのは、働くことは「誰かを楽にすること」だということ。お金のために働くという動機ももちろん大事だけれど、自分はどんな人たちを助けてあげたいのか、喜ばせたいのか——そういうやりがいがないと、働くことはなかなか続きません。

実はこの「働くとは」というテーマは、私自身が中学生の時に参加した職場体験で、担当の方や会社のみなさんが語ってくださったものでした。
それがずっと心に残っていたので、今回はぜひ自分の言葉で話そうと決めていたのです。10数年の時を経て、今度は私なりの「働く」を中学生たちに伝えられたかな、と思います。

最後には、WESEEKからのお土産として、20周年記念のクリアファイルと、WESEEKが開発したクイズゲームのキャラクター「ラビィ」のグッズをプレゼントしました!

プレゼントしたクリアファイルとラビィグッズ

プレゼントしたクリアファイルとラビィグッズ

おわりに

職場訪問を経て得られた気づき

今回の職場訪問の目的は、『中学生のみなさんに「働く」ことを少しでも自分事として感じてもらい、将来を考えるきっかけにしてもらうこと』でした。

学校のテストで高得点を取ったり、大学受験の合格につながるようなコンテンツが提供できるわけではありませんが、職場訪問は学校での勉強とはまた違った形での「教育」の機会になります。

今回の場合、職場訪問先は自由に選べるわけではないですし、我々が学生の方の将来や仕事観に与えてしまう影響は想像しているよりも大きいかもしれない、と準備を進めたり、当日話している中で感じていました。

職場訪問を通じてエンジニアの魅力を伝えるのはもちろんですが、「仕事が辛い」「もう辞めたい」というマイナスの情報が溢れかえり、将来に希望を持ちにくいかもしれない現代だからこそ、「仕事は辛いことばかりじゃないぞ!」「人生は楽しいぞ!」「こんな選択肢もあるぞ!」というメッセージを伝えていくことも、我々なりにできる教育というか、やるべきことだったりするのかなと思います。

これは職場訪問に限らず、普段学生のインターン・アルバイトに接する機会が多いWESEEKの社員だからこそ、より一層意識していかねばならないですね。

そして、この日が参加してくださった学生の皆さんの将来の進路……とまではいかなくても、ちょっとした興味として心に残る時間になっていたら嬉しいですし、この機会を通じてプログラミングに興味を持つ子が一人でも現れてくれたら、これほど嬉しいことはありません!

最終的には勉強でも、仕事でも、なんでもいいので、何か人生の中で自分が本気で情熱を燃やせるものに出会える人が少しでも増えたらいいな、と思いました。

AIを活用したコンテンツ準備・開発を振り返って

また、私個人の感想ではありますが、職場訪問の準備を通して、こんなにClaude Codeを活用した本格的なアプリケーション開発にチャレンジすることになるとは想像もしていませんでした。

正直なところ、どんな通信をしているどんなアプリケーションを作ったのかはほぼ忘れかけているのですが、AI を活用した開発手法への理解が深まったのはもちろんのこと、そもそも「AIを使ってみよう」「AIにこんなことも任せられるぞ!」というAI活用までの最初の障壁みたいなものもだいぶ低くなった良い機会になりました。

今ならもっとスムーズにAIと一緒にアプリケーションを作れそうな気がするので、リベンジの機会があれば職場訪問に限らずまたチャレンジしたいと思います!