こんにちは!戦略企画室インターンの田中です。
気温がガクッと下がり、本格的な冬の到来を感じますね。
先日、中野で美味しいおでん屋さんを見つけて、この冬の楽しみを一つ見つけることができました!
やっぱり冬は、出汁がしみしみの大根に勝るものはないですね。

初めてちくわぶを食べました。関西にいた頃は見たことなかったです。
さて、8月に公開したエンジニアに新視点!?マーケティング実践勉強会を開催!【武器集め編】では、マーケティング勉強会でマーケティング未経験者がAIツールを活用して本格的な分析に挑戦する様子をお伝えしました。あの記事で「【コンペ編】をお楽しみに!」と予告しておきながら、早数ヶ月……。
実は勉強会後、「せっかくだし、そのままマーケティングやってみないか」というお誘いがあり、実務でのマーケティング業務にすっかり熱中していました。そして気づいたのです。勉強会で学んだAIツールが、実務でも相棒のように活躍していることに。
そこで今回は、WESEEKでのAI活用事例【ブログレビュー・執筆支援】に続くWESEEKのAI活用シリーズ第3弾 として、勉強会で学んだAIツールを実際のマーケティング業務でどう活用しているのかをご紹介します!マーケティング未経験の私が、AIを相棒にどのように業務をこなしているのか、具体的な事例とともにお届けします!
Contents
未経験でも本格的なマーケティング業務に挑戦
導入部分で触れた「マーケティング業務」ですが、実は私、マーケティングの専門教育を受けたわけでもなければ、実務経験もゼロなんです。
それでも現在、新しいサービスの企画や販売戦略の検討、 GROWI.cloud のマーケティング面でのお手伝いを担当しており、そのための競合分析や顧客分析、施策の検討から実行まで幅広く行なっています。
なぜこれが可能なのか? 答えはAIツールの活用です。
マーケティング勉強会で活用したAIツールを実務でフル活用することで、未経験でも本格的なマーケティング業務をこなせるようになりました。
GROWI.cloud はWESEEKの子会社である GROWI, Inc. が提供しているクラウド型のWikiサービスです。
オープンソースのWikiシステム「GROWI」をベースにしたSaaSサービスで、Markdownエディタによる直感的な編集機能や、リアルタイム同時編集、図表作成機能などを備えています。
公式サイト: https://growi.cloud/
マーケティング勉強会とは?
さて、そもそもマーケティング勉強会って何だったの?という方のために、サクッと振り返っておきますね。
この勉強会は今年の6月に週1回ペースで計5回開催され、マーケティング未経験のエンジニア社員約15名が参加しました。
何をやったかというと、マーケティングの基礎フレームワークを学んで、実際に自社サービス(GROWI.cloudなど)を題材にAIツールで分析してみるという内容。最終回はコンペ形式で、各チームが学んだフレームワークやツールを駆使してマーケティングの戦略を競いあいました。
正直、最初は「マーケティング? コード書いてる自分には関係なくない?」みたいに思っていた方が大半でした。でも勉強会後のアンケートでは、AIツールを使えば、めちゃくちゃ気軽にマーケティング分析ができちゃうことに気づいて、「やれば意外とできるんだ」と、前向きに捉える方が増えていきました。
そして、勉強会で「ぜひ使ってみてください!」と提案したAIツールたちが、いつの間にか自分自身の業務でも「相棒」みたいな存在になっていたんです。今では、マーケティング業務をするときに手放せないツールになりました。

マーケティング勉強会の様子
実際に使用したAIツールを紹介!
では、本題です。勉強会で扱ったのは、Google社が提供している次の2つのAIツールです。
それぞれ詳しくご紹介します!
Gemini:「広く・速く集める」AI

まず1つ目がGemini。これは、即座の情報検索、基本的な質問応答、創造的作業、Webからの知識取得に強みを持つGoogleの生成AIツールです。
勉強会では、主に製品や競合、対象となる顧客についての情報収集など、幅広いリサーチ作業に活用しました。
特に便利だったのが、DeepResearchという機能です。この機能は、最新の情報について情報源を示しながら調査し、最終的にレポートまで作成してくれます。マーケティング分析の最初の一歩として、とても心強い存在でした。

GeminiのDeepResearchでGROWI.cloudの分析レポートを作成
AI初心者だったので、AI活用の肝とも言えるプロンプト作成には苦労しました。しかし、このプロンプト自体もGeminiで作ってもらったらすごく楽になりました!
プロンプトと一緒に、出力結果の形式を指定するテンプレートも作ってもらっておくと、AIの回答が安定して、得たい結果に近づきやすいですよね
公式サイト: https://gemini.google.com/
📢 Gemini 3でさらにパワーアップ!
ちなみに、2026年11月にGemini 3がエンタープライズ向けに公開されました!従来のGeminiよりも推論能力が向上し、より複雑な分析や長文の処理がスムーズになったそうです。マーケティング業務での活用の幅がさらに広がりそうで、今後が楽しみです!
気になる方は 下のGoogle Cloudの公式ブログをチェックしてみてください!
参考サイト: エンタープライズ向け Gemini 3 を公開 | Google Cloud 公式ブログ
NotebookLM:「深く・つなげて考える」AI

一方、2つ目がNotebookLMです。こちらは、複数の資料を統合した深い分析、要約、関係づけが得意なツールです。
最大の特徴は、ユーザーが提供した情報をもとにアウトプットを出してくれるため、情報の信憑性が高いこと。さらに、PDFやWebページ、テキストファイルなど、様々な形式のドキュメントを一度に最大50個まで読み込めるのも大きな強みです。
勉強会では、Geminiが集めた情報やGROWI.cloudの製品情報、WESEEKの企業情報など、複数の異なる形式の資料を読み込ませた上で、戦略の構築や妥当性の評価に活用しました。
複数の資料を読み込んで、それぞれに矛盾のないような思考を人間がしようと思うと、膨大な時間がかかります。しかしNotebookLMがその作業を代わりに行ってくれるため、勉強会では人間が「現実的かどうか」「実行可能性はあるか」といった本質的な議論に集中することができました。
公式サイト: https://notebooklm.google.com/
2つを組み合わせるのがポイント
このように、Geminiで「広く・速く」情報を集めて、NotebookLMでそれらを「深く・つなげて」分析する。この2つをハイブリッドに活用することで、非マーケターのエンジニアでも、本格的なマーケティング分析が可能になります。

GeminiとNotebookLMの組み合わせ(勉強会資料より)
実際の活用事例
では、実際の業務でどのようにAIツールを活用しているのか、具体的な事例を2つご紹介します。
業務内容によって、GeminiとNotebookLMの使い方は変えています。時には片方だけを使うこともあれば、両方を組み合わせて深い分析を行うこともあります。
事例1:競合分析での活用
新しいサービスを企画する際、まず必要になるのが競合分析です。市場にどんなサービスが存在し、それぞれどんな特徴があるのかを把握しなければなりません。
Step 1:Geminiで「広く集める」
まず、Geminiを使って類似サービスとその機能や価格などの特徴を列挙させます。プロンプトは「〇〇の分野で、△△のような機能を持つサービスを10個リストアップし、それぞれの特徴と価格帯を教えてください」といったシンプルなものです。
さらに、各サービスに関する口コミや記事のURLも集めます。Geminiの「広く・速く集める」能力が、ここで発揮されます。数分で10〜20のサービス情報が手元に揃うのは、本当に驚きです。

Geminiによる価格と機能の比較レポート
Step 2:NotebookLMで「深く分析する」
次に、NotebookLMに各プロダクトのウェブサイトやGeminiで収集した情報を読み込ませ、共通点や差別化ポイントを分析してレポートにさせます。

ユーザーが指定したソースをもとに分析。step1で集めた情報も与えました。
ここでのポイントは、複数の競合情報を一度に読み込ませることで、「A社とB社の共通点は何か」「C社だけが持つ独自性は何か」といった横断的な分析がスムーズに行えることです。
人間が複数のサイトを行き来しながら比較するのは、かなりの時間と集中力が必要ですが、NotebookLMがその作業を代わりにやってくれます。
事例2:価格設定の検討での活用
もう一つ、価格設定を考える際の活用例もご紹介します。
新しいサービスの価格をどう設定するかは、非常に重要な意思決定です。高すぎても売れませんし、安すぎても事業として成立しません。
Step 1:Geminiで過去事例や業界レポートを広く調査
まず、Geminiを使って過去の同様のビジネスモデルのサービスがどのような価格をつけていたのかを広く調査します。ここでは、情報ソースも必ず出力させます。

Geminiによる競合の機能・価格調査レポート。
オレンジの箇所は情報の引用元URLを提示してくれています。
Step 2:NotebookLMで全情報を統合・要約
集めた情報をすべてNotebookLMのソースに入れて、要点やキーポイントを要約させます。
ここで特に便利なのが、NotebookLMの音声解説機能です!
分量が多くなる場合、テキストで読むよりも音声で聞く方が理解しやすいことがあります。NotebookLMは、まるで2人のホストがポッドキャスト番組のように会話形式で解説してくれる音声を自動生成してくれるんです。
例えば、価格設定の根拠となる複数の資料を読み込ませると、「なるほど、この業界では〇〇という価格帯が主流なんですね」「そうそう、でも△△という要素を考慮すると…」といった自然な会話で内容を整理してくれます。この掛け合いのような出力のおかげで、複雑な情報もスッと頭に入ってきます!

NotebookLMの音声解説機能
Step 3:人間が最終判断
わかった情報をまとめ、自分たちのサービスの情報とかけ合わせて、最も妥当な価格案を考案・選定します。AIはあくまで情報整理と分析のサポート役。最終的な意思決定は、人間が行います。
AI活用で実現できたこと
これらの事例から言えるのは、圧倒的な時間削減と、一定以上のクオリティの担保です。
例えば、競合分析に以前は丸1日かかっていたところが、AIを活用すれば2〜3時間程度に短縮できました。正しく情報の取捨選択ができれば、それなりのクオリティの案が作れます。
今までだと一つの戦略案をどうにか捻り出すような状況でしたが、AI活用によって一人で3〜4パターンの戦略を作成し、それぞれのメリット・デメリットを吟味しながら最適な選択ができるようになりました。
これは、マーケティング業務におけるかなりの効率化と言えるのではないでしょうか。
AI活用で気をつけるべきこと
ここまでAIツールの素晴らしさをお伝えしてきましたが、実際に使っていく中で「これ気をつけないとな」と思ったこともあるので、正直にお話しします。
情報の鮮度は自分で確認する
Geminiが出してくれた競合分析をそのまま使ったら、実はその情報が半年前のものだったことがありました。DeepResearchは情報源を示してくれますが、その情報が最新かどうかまでは教えてくれないんですよね。今では、必ず元のサイトで更新日をチェックする癖がつきました。
AIの分析は「それ、ほんと?」と疑う
NotebookLMが「A社の特徴は〇〇機能です」と分析してくれたので信じていたら、実際は最近別の機能に注力していることが判明しました。AIはもっともらしい分析をしてくれますが、細部をよく見ないと実際より大袈裟に捉えていたり、情報が古かったりすることがあります。
今では「それ、ほんと?」と常に疑って、他の情報源でクロスチェックするようにしています。AIの分析は便利だけど、最終的には人間が裏を取ることが大事だなと。
こうした失敗も含めて使っていくうちに、だんだんコツがつかめてきました。AIを「完璧な答えを出してくれる魔法のツール」ではなく、「一緒に考えてくれる相棒」くらいの距離感で使うのが、ちょうど良いのかなと思っています。
まとめ

ここまで、マーケティング勉強会で学んだAIツール(GeminiとNotebookLM)を、実務でどう活用しているかをご紹介してきました。
改めて感じるのは、AIツールを効果的に活用すれば、専門外の領域でも一定以上のクオリティで業務をこなせる時代になったということです。
もちろん、AIに丸投げすれば良いというわけではありません。各分析の意図や、そこから何がわかるのかを理解した上で使うことが重要です。AIはあくまで強力なサポート役。どんな情報が必要で、それをどう判断するかは、人間が考える必要があります。
それでも、AIが情報収集や整理、分析の大部分を担ってくれることで、人間は本質的な思考や意思決定に集中できるようになりました。私自身、マーケティングは「苦手分野」だと思っていましたが、AIを効果的に使うことで、できることの幅が大きく広がりました。
実際、AIと一緒に考えた戦略案をもとに、現在いくつかのマーケティング施策が進行中です。まだ結果は出ていませんが、未経験の私が企画から実行まで携われているのは、間違いなくAIツールのサポートがあったからこそです。
WESEEKで働いていて感じるのは、今回ご紹介したマーケティング業務に限らず、カスタマーサポート、ブログ執筆、開発業務など、様々な場面でAIを積極的に活用する文化があるということです。「AIをどう使えば業務が効率化できるか」を常に考え、実践と改善を繰り返す雰囲気が、社内に根付いているように感じます。
今後も、AIとうまく付き合いながら、より良いサービスや戦略を生み出していきたいと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!