WESEEKヒストリー⑤ ー冬の時代と再起ー

こんにちは。WESEEK代表の武井です。

前回のエントリー「WESEEKヒストリー④ー試練のち拡大ー」を投稿したのが6月中旬…相当サボってしまった「代表は語る」の続き、今回は学生企業時代の終わりにやってきた冬の時期についてと、そこからの再起動の過程のお話です。

冬の時代到来

なんとなーくで航海してた船に荒波が押し寄せる。

1つ目は予期できたものだったが、大学の同級生を集めて作った会社の離散タイミングとして避けて通れないのが「卒業」である。多くのメンバーが院進したため、2008年は就活 + 卒研の時期となり、稼動の調整はそれらに大きく左右された。

時を同じく2つ目、これは予期できなかったもので、かの有名な「リーマンショック」がやってきた。
景気とか不況だとか言われても社会人なんて一人も居ないので最初は「なにそれ影響あんの?」と思っていたが、お得意様だった不動産業界は直撃をくらったようで制作のお話などはほぼなくなってしまった。2009年度末には贔屓にしてくださっていた取引先(上流の会社)の方も退職となり、重要なコネクションが失われた。

そして2010年3月に創業メンバーを含むほとんどがWESEEKを離れ、10月には史上最小人数の2人に。
こうなる前に受託の他に自社サービスで安定的な売上を立てておくべきだったのだが、レベニューの契約を結んでいた数社はいずれも奮わず。WESEEK は一時休業することとなった。

「会社をやる」とはどういうことか

会社をやる、つまり経営するとはどういうことなのか。体系だった勉強をしたこともなく、今居る会社が1社目の僕には自信を持って「これ」と示せる金言はありません。

ただこれは Facebook でどこかの経営者が投稿していた内容なんだけれど、

会社経営とは、『当たり前にもらえないもの』を手に入れて『当たり前にもらえると思っている人達』にそれを分配すること

らしい。つまり「売上を上げて給与を支払う」を言い換えたものだが、故に経営は時に苦しく、経営者は時に孤独なのだと。例え同級生と一緒に起業したとしてもそこだけは分かち合うことができない感覚。なるほどと頷く表現だった。

一旦「経営」維持できなくなってから学んだこと

まあお仕事がなかったら取りに行かなきゃいけないわけで。
一旦「会社として売上を上げる」とか、Flash, Flex, Java EE をやるとか、そういうところは置いといて、外に稼ぎに出るというのをやってみた。ここで外の世界を見たのはいい経験で、いろいろ学びもあったし持ち帰ってきたものもあったが、また別のエントリーで書くことにしよう。

端的に言えば、自分たちが培ってきた技術力には思ってたより価値があることは確認でき、「会社で売上を上げる」よりは「持っている技術(人工)を需要があるところに売る」のは遙かに簡単だった。1年で2社のお手伝いを経験し、WESEEK立て直し資金を留保できるくらいにはなった。

他にも得たものはあった

そしてこの時残ってくれた同級生の一人、現在の取締役になってくれた相方とも言える存在だが、彼にもとても感謝してるし、「なぜ一緒に会社をやるのか」の解になり得るエピソードもこの時期に生まれた。これもいずれ別エントリーで。

再起動 = 仲間集め

「会社をやること」に関しては究極「カネ」の話だったとしても、会社を生きた状態にする最重要構成要素は「ヒト」だ。

2012年以降 WESEEK の得意先は大手通信事業者となり、その売上拡大のためにはソフトウェア開発の技術はもちろん、ネットワーク分野の知識が必要になった。段階的に戦力を整え始めたのは2013年。

まずは中核として、WESEEKを卒業したメンバーのうち創業当時から一緒にやってきた人物をCTOとして呼び戻す。(これには複数回の上質な焼き肉を要した)
次いで失ったポジションであるデザイナー・コーダーの募集をかけ、
ゲーム案件の受託のタイミングで Unity エンジニアを入れる傍ら、Web 系の潮流であるフロントエンド技術へのキャッチアップを既存メンバーで行う。

2016年には7名程度になり、学生時代の最盛期の人数に戻った。

戻せた要因・エッセンス

お仕事・業界の潮流

何はなくともこれ。いい縁に恵まれました。
ネットワークのレイヤーでもソフトウェア開発力が必要になってくる、という流れも追い風になった。

リファラル採用

やはりリファラル採用は強い。最初の一人を呼び戻すのはまあ苦労したが、2人目からは「この会社の良いところはなにか」というのをかつての転職者目線で語ってくれるようになるので説得力がちがう。

少し脱線するが、競業からの引き抜きは最近考えさせられることが多い。転職に伴う最大幸福はなにか?刹那的な幸せではなく家族も含めた持続的メリットを考えるならば、新環境の文化とか条件、転職後何年一緒にいるのかとかいろいろあるが、最後は人脈やハブになる人物へのリスペクトがものを言う。そしてモラルとして「自分で築いた人脈でのリクルートか?」それは自分は必ず意識していきたい。

オフィスのサスペンド

ただそれ以外の要素で個人的に重要だったと思うのは、その間オフィスを手放さなかったことだ。当時を知る人からは口々に使わないオフィスに 20万/月 もかけ続ける必要はないんじゃ?と言われたものだった。しかし閉じるのは簡単でも必要になったときにまた再開するのは骨が折れると考えた(めんどくさかったのもあります)。結果、再拡大期にはすぐフル稼動に戻すことができて、シャットダウンよりは我慢してサスペンドする選択を行って正解だったと思う。

オフィス考

昨今コロナでオフィスおよび通勤時間は無駄だという論調が多いが、僕は少なくともオフィスについてはそうは思わない。オフィスは「集団としての自意識」の dump/update を行うストレージであり、それを電子的な空間のみに限定するか、生身でいつでも Read できるように整備しておくかではその集団を形成する個々の印象が大きく変わると思っている。少なくとも2021年時点の WESEEK では、オフィスの稼働率減は「集団としての自意識」の忘却・資産価値減少と位置づけている。

因みに通勤時間が無駄なものになるかどうかは本人に依るだろう。まあ雨降りの日に出かけるのは僕も嫌だけどね。

※この「オフィス考」は代表目線でのオフィスに対する価値を説いているだけであり、実際の運用にあたって従業員に出社を強制しているわけではありません(奨励はしてる)

次回、WESEEKヒストリー

2016年、「WESEEKはこれからどんどん大きくなります」と予言してくれた人がいた。その言葉通り右肩上がりの5年となる。

次回で一旦「代表は語る」の WESEEK ヒストリーシリーズはラストの予定。

今月のありがとうセルフィー

今回は WESEEK インターンの中でも k8s 大好き勢筆頭の岡くん&山本くんです。

岡君、山本君とセルフィ―

岡君、山本君とセルフィ―

二人とも昨年6月に WESEEK インターンを開始、その後他社インターンや内定者インターンを経験し、この10月に再びインターン参画のため戻ってきてくれました。山本くんに関してはなんと北海道からのリモート参戦(WS的には特例で許可)、二人とも新卒での就職先は他社なので期間限定にはなりますが、インターン全体の技術・意識の底上げ、低レイヤーへの情熱を我々に注入してくれます。

戻ってきてくれてありがとうというか、限られた時間で良いものができるように改めてよろしくね的な感じではありますが、WSでしかできないものを一緒に作っていきたい!ということで決意のファイティングポーズ。